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誰もが安心して満天の星空に出会える場所「星つむぐ家」

2024.10.18
一般社団法人星つむぎの村

本物の星空を見てみたい

星空はみんなの共有の風景です。家族や友だちと一緒に見上げた星空が忘れられない思い出となっている人も多いはず。

「一緒に星を見ることは心の支えになる」。そう信じて星空を届ける活動をする団体「星つむぎの村」。本物の星空を見ることが難しい長期入院中や療養中の子どもたちに向けて、空気で膨らませるドームや天井に星空を投影する移動式プラネタリウムを使って病院などに星空を届ける活動を行ってきました。「すべての人に星空を」という理念のもと、病院をはじめ学校や公共施設など、全国のさまざまな場所で出張プラネタリウムを展開。活動を始めて10年で、延べ12万人以上に星空を届けてきました。

2018年からはインターネット配信や動画コンテンツを利用して非接触で星空を届ける「フライングプラネタリウム」というプログラムをスタート。新型コロナ感染症で立ち入ることができなくなった病棟や、在宅療養中の子どもとその家族のご自宅にも星空を届けられるようになりました。

こうした中、プラネタリウムを体験した闘病中の子どもたちから、「本物の星空を見たい」という声が数多く届くようになりました。

「人として当たり前の『星を見る』という、なくてはならない経験。それが難しい人がたくさんいます。『ここに来たら星が見えるよ』『頑張っておいでよ。一緒に星を見よう』と呼びかけられる場所を作りたいと考えました」と星つむぎの村共同代表の跡見浩一さんは話します。

誰もが安心して本物の満天の星に会える場所があれば。「いつでもおいでよ、待っているよ!」と言える場所があれば。そんな願いから宿泊コテージを建設するプロジェクトがスタート。活動に賛同する支援者やクラウドファンディングによる寄付、そして日本財団からの助成により、星つむぎの村の拠点である八ヶ岳に2023年の10月、満天の星を見上げることができる宿泊コテージ「星つむぐ家」が完成しました。

満天の星が見られる宿泊コテージ「星つむぐ家」

 

自慢の大きな星見デッキ

星つむぐ家では満天の星の下、家族みんなでゆったりした時間を過ごしてもらいます。1家族で1棟を利用するので、気兼ねすることなく広々と使えます。一番のこだわりは、驚くほど大きな星見デッキ。バギーやストレッチャーに乗ったまま、布団に寝ころんだまま、空を見上げられます。寒い季節にはそこになんとコタツも登場します。

建物は車いすやバギーでも動きやすいように工夫を凝らしたユニバーサルデザインです。 「部屋からデッキに出てそのままスロープを降り、玄関からまた入ることができ、建物全体を車いすやバギーで自由にぐるぐると動き回れます。自在に移動できるのは子どもたちの喜びです」と共同代表の高橋真理子さんは話します。

今回のプロジェクトチームのメンバーには障害がある“村人(星つむぎの村の会員)”もいて、一緒にミーティングを重ねて、普段何が不便なのか、どうすれば快適になるのか、玄関扉の幅、キッチンの高さ、お風呂やトイレのレイアウトなど、細やかにリアルな声が寄せられました。使いやすさにこだわり、快適に安心して過ごせると利用者に喜ばれています。

「今回多くの方々の協力とご支援をいただきました。究極には、私たちは同じ星の下、みんなで集う、みんなで共に生きる小さな社会を目指しているのですが、今回それは実現できるという自信と勇気になりました」と高橋さん。

広々とした星見デッキで、ゆったりと過ごすことができます

何も諦めなくていい場所

重度の障害のある子どもが移動するとなると、ケアのための機器や設備など大きな荷物が必要です。食事をミキサーにかけることだけで、一般の宿泊施設に受け入れてもらえなかった経験を持つ家族も多くいます。

あるお母さんは、「私たちは諦めることに慣れています。『来てもいいよ、いてもいいよ』では、アクセルが踏めない。一歩を踏み出すためには、『ぜひ来てね。一緒に星を見よう』と言ってもらう必要があるんです」と話されたそう。

「そこに階段があると、車いすの人は上がれません。スロープだったら上がれます。健常者と障害者を分けているものは、心身の状態ではなくて、そこにある階段=社会が作った障害です。ちょっとした気づきと少しの工夫でそうした障害を取り除くことができる。星つむぐ家は、ほんの小さなチャレンジだけれど、これからの社会が目指す姿だと思っています」と跡部さん。

「人工呼吸器を付けた我が子の初めてのお出かけです。思いきって来てよかったです。また来ます」 「初めて日の出を見ました。初めて親子三人で川の字になって寝ました。ここは何も諦めなくていい、何も我慢しなくていい、そういう場所です」 「空を見上げる余裕なんてこれまで全くありませんでした。今日美しい星空を見て、この子が生まれた意味が初めて分かった気がしました」

「星つむぐ家」には、こうした感謝の声が多く届きます。

また、星つむぐ家は、お子さんが旅立ってしまったご家族の方が集い、星空を見上げてお子さんのことを語り合うグリーフケアの場にもなっています。「想いを共有できる場になれば」と高橋さんたちは考えています。

みんなで同じ星空を見上げる。家族にとってかけがえのない大切な時間です

同じ星空の下、みんな違って、みんな一緒

「これからやりたいことはたくさんあります。地元の旬の食材を使った食事を出しておもてなしをすること、“村人”にも来てもらって宿泊者さんとの食事や星空観察、プラネタリウムなどの交流をすること。防災対策の設備を整え、万が一の停電対策、道路のアスファルトの舗装など、さらに安全な環境にするための整備をしていきたい」と高橋さん。

「星空を見ると、自分も大いなる自然の一部だということを感じさせてくれます。同じ星空の下、上も下もなくフラットに生きる仲間であるということ、みんな違って、みんな一緒だということを星は教えてくれる。それがあると生きるベースになると感じています。『星空を見上げることは一人一人が幸せになるために必要なこと』『あらゆる境界線を乗り越えていくこと』。そう信じて、星つむぎの村はこれからも活動を続けていきます」。

広いデッキでのびのびと。山脈や里山の眺望が楽しめます

 

    • 一般社団法人星つむぎの村

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    • ●2023年度日本財団支援事業

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