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全国のおもちゃ作家が「あそびのむし」のオリジナルおもちゃに込めた想い

2024.04.10
認定NPO法人 芸術と遊び創造協会

おもちゃに夢中になる時間を

難病の子どもたちにおもちゃで遊ぶ体験をしてもらいたい、わくわくと夢中になる時間を過ごし、子どもも大人もみんなが一緒に過ごす機会にしてもらえたらという願いを込めてセレクトされた選りすぐりのおもちゃセット「あそびのむし」。

この「あそびのむし」を全国の病院や施設などに贈呈するプロジェクトは認定NPO法人 芸術と遊び創造協会と日本財団の協働で始まり、2019年の第1弾は90か所、2023年の第2弾は150か所に贈られました。

1弾で届いた感想や意見をもとに、第2弾ではオリジナルおもちゃを新たに開発。創意工夫と遊び心、子どもたちへの想いが詰まった5つの木のおもちゃが「あそびのむし」に加わりました。

前回の記事「おもちゃセット『あそびのむし』で広がる笑顔の輪」に引き続き、今回はオリジナルおもちゃの制作を統括し、全国各地の作家さんと共におもちゃを作った株式会社アプティの加藤貴彦さんに、その開発秘話や制作に込めた想いを聞きました。

「株式会社アプティは、日本各地のおもちゃ作家さん、職人、工房にスポットをあてて、日本のもの作りが一堂に会するショップを東京おもちゃ美術館で運営しています。あそびのむし第1弾の声をうけて、第2弾では既製品のおもちゃに加えて、子どもたちの感覚や力に合わせて細やかに対応できるオリジナルの木のおもちゃを新たに作ろうということになり、全国の作家さんとの繋がりが深い当社が統括を担当させていただくことになりました」と加藤さんは話します。

「より使いやすく、分かりやすい色、分かりやすい音を取り入れ、感覚を大切にしようと、おもちゃ作家さんたちとぎりぎりまで試行錯誤を重ねました」。

玩具選定委員会が編成され、おもちゃのスペシャリストのほか、医師、難病児の支援を続けている方など多岐にわたるメンバーが参加して意見を出し合い、試作品を施設でも遊んでもらい、その声を参考に検討を重ねました。

岡山県のおもちゃ作家「おとぎ屋」の多曽田育男さんが作った「フローラ」は、歯車を自由に組み合わせて回して遊ぶおもちゃを、大きな花のカラフルなモチーフにデザインして、くるくる回る美しい花束のようなものを目指しました。

花型の歯車のそれぞれの土台の裏には磁石がついていて鉄板を裏貼りした木のボードにしっかり付くので、立てかけても落ちず、寝たままでも遊べます。また、磁石に重ねて滑り止めのゴムシートもついているので、テーブルや床の上でもうまく並べられ、単品で駒遊びもできます。

ボードは愛媛県の福祉施設で木工を制作する「はばたき園うさぎ堂」が担当。磁石を適度な強さで付けるために、素材と厚みにこだわったそう。

「何度も試作を繰り返し、遊びやすく長持ちするために、花のサイズ、軸棒や隙間をミリ単位で調整しました。まさしく汗と涙の結晶です」。

動き、色、美しさにこだわった「フローラ」。くるくる回るお花が可愛いね

オルゴールで誰もが演奏家に!

「『マジカルハンドルカードオルゴール』の凄いところは、前後どちらに回しても曲が演奏されることです。常に向こうに向こうにとカードが流れて曲が途切れません。開くと中をみることもでき、機械好きの子どもは夢中になります」。

「オルゴールは素晴らしい楽器なんですよ」と加藤さん。子どもたちが自分も演奏に関わっていると思えること、回しやすくて失敗しないこともポイント。「こいのぼり」「ジングルベル」など、四季を感じられる8曲が入っています。

「カード式で誰でも演奏家になれるオルゴールです。すべての曲を一から編曲し、何度も何度も試行錯誤しながら仕上げました。編曲が凡庸にならないよう、オルゴールを聴いた子どもたちが気持ちよくなってくれるようにと制作しました」とオルゴール制作を担当した株式会社サウンドボックス・マキ(神奈川県)の西牧文紀さんからメッセージが届きました。
オルゴールの音色にはそんな作り手の想いが込められています。

(左上)オルゴール制作を担当した株式会社サウンドボックス・マキの制作風景、(左下)「マジカルハンドルカードオルゴール」、(右)友達と一緒に心地良い音色にうっとり

動きと使いやすさへのこだわり

『熱帯魚のモビール』は、スイッチを押すと木製の円盤がゆっくりと回り、魚がゆらゆらと尾を揺らしながら泳ぎます。不規則な動きをして、魚11匹がよたよたと動くなど、シンプルに見えて細やかな工夫を凝らしました。

木製のスイッチを押すという自分の行動が、その先の動きに反映されるのを感じられるのも熱帯魚モビールの楽しさ。スイッチの木の感覚を味わい楽しんでほしいという想いが込められています。スイッチは手触りの良いピンポン玉の形で、子どもの弱い力でも反応するよう、体のさまざまな場所でも押せるように、おもちゃ作家の「伽楽理(からくり)」の蓮溪 円誠(はすたに えんじょう)さんと加藤さんは何度もやりとりを重ねて作り込みました。

「リング×リング」は木製のコマが針金を伝って回るようにグリップを動かして遊ぶおもちゃです。コマがひらひらと回りながら針金を伝う振動が手に感じられ、その振動や握り心地、シャーシャーという音が面白く、いつまでも遊んでいたくなります。木のコマには磁石が付いているので、針金とくっついたり離れたりして、すとんと落ちずにひらひらと動くのです。

このおもちゃを作った「工房童(こうぼうわらべ)」の若林孝典さんは、阪神淡路大震災の時から子どもたちの遊びの活動を続け、障害児の生活の質を高めることをずっと考えてきた岡山県の作家さんです。リングの円周、コマの重さ、磁力は絶妙なバランスでできていて、みんなに成功してもらえるためにギリギリまで考え抜いて、何度も試作を繰り返してこの形になりました。

ユーモラスな動きが面白い(左)「熱帯魚のモビール」と(右)「リング×リング」

みんなで季節を感じよう

「節句のつみき」は、どんな環境で過ごしていても、みんなで一緒に季節の行事、日本の歳時記を感じ楽しんでほしいという想いで作られました。四種類以上の国産の木材を使用し、木の素材の違いも味わえます。

「つみきとして遊んだり、節句の置物として飾ったり、木のことを学んだり…。多様な形で永く使っていただけるつみきを目指し、心を込めて作りました」。

おもちゃは子どもにとって初めて出会う芸術品です。その「美しさ」「本物であること」にこだわり続けたいとこれを作った東京おもちゃ美術館、株式会社アプティ、オークヴィレッジ(岐阜県飛騨高山の工房)は考えています。

「どの作家さんも子どもを笑顔にしたいという想い、心意気でおもちゃを作っています。おもちゃ遊びで他者とのコミュニケーションができるようになったり、自分なりの感性でおもちゃに触って感じ、これまでなかった体験をしたなという気持ちになったりと、人生の中に何かが残ったらとても嬉しいです」と加藤さんは言います。

「遊びは可能性。まわりの大人にも箱を開けて手に取り、どんどん使い込んでいただきたいです。ご自身の遊び心を再発見したら意外に子どもたちとの距離が縮まったり、自身の心のほっとしたよりどころになったり、人生がより豊かになると思います。ぜひ躊躇せず遊びの世界に飛び込んでください」。

桃の節句のつみきを飾って、オルゴールの曲に合わせて「うれしいひなまつり」を歌いました

 

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難病の子ども向けおもちゃセット「あそびのむし」の配布

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