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医療的ケア児ときょうだい児、みんなの笑顔が咲く居場所

2023.08.09
一般社団法人在宅療養ネットワーク

 

みんなが一緒に過ごせる場所を

医療的ケア児が病院から自宅へ生活の場を移行した時から、医療的ケアの担い手として保護者は昼夜に関係なくかかわっています。医療的ケア児が体調のすぐれない時などの大変な様子を間近で感じているきょうだい児は、小さい時から自分の事が後回しになることが多くなってしまいます。医療的ケア児、きょうだい児が一緒に過ごせる場所「ちゃぷちゃぷ放課後児童クラブ」が香川県高松市にあります。ここでは「みんなで一緒に成長しよう」が合言葉。放課後に子どもたちが共に過ごし、成長をしています。

これを運営する一般社団法人在宅療養ネットワーク(以下、在宅療養ネットワーク)は2012年から香川県高松市で成人の重度の難病患者や終末期の要介護者を対象に訪問看護事業、居宅介護支援事業、療養通所介護事業などを提供してきました。

医療的ケア児のためのサービスが必要とされていることを知り、2017年から対象を子どもに広げて児童発達支援・放課後等デイサービス・生活介護事業を開始。2020年には日本財団の助成を受けて高松市の街の一角に子どもから大人まで同じ場所で過ごせる地域連携ハブ拠点を開設し、注目を集めています。

医療的ケア児のきょうだいが、他の重症心身障害児や医療的ケア児に対して「こわい」と関わらなくなったことから、「弱いところを持ったお子さんのことを思いやれるようになって欲しい」という保護者の声がありました。また、医療的ケア児の福祉支援のための放課後等デイサービスの支給日数が保護者の就労を保てる量ではなく、地域の学童クラブはバリアがあり利用が難しいため保護者の就労環境にも影響が出てしまうという問題がありました。 こうした課題を解決する目的で日常的に交流できる居場所「ちゃぷちゃぷ放課後児童クラブ」が2022年4月に開設されました。

「地域の子どもたちみんなが垣根なく一緒に過ごす子育ての場を作りたいという思いがありました。本人も保護者も特別扱いはされたくない、同じ選択肢を持ちたい。医療的ケア児ときょうだい児が一緒に過ごす場所として元々ある地域資源の放課後児童クラブでみんなが過ごせたらと考えたのが発端です」と代表理事の英(はなふさ)早苗さんは言います。
ハンモック遊び みんなと一緒だともっと楽しいね

 

きょうだい児の笑顔を応援したい

ここでは医療的ケア児ときょうだい児が一緒に過ごし、やりたいことの計画を立てて好きな遊びや学びができます。「きょうだい児の中には小学校に入るまで虫とり網で虫とりをしたことのない子もいました。子どもたちには楽しいこと、好きなこと、学校ではできない体験をしてもらいたいです」と英さんは言います。

地域の人にも指導をしてもらい、ボランティアや学生などさまざまな人が関わります。学校へ通いにくくなっていた女子高生などさまざまな事情を抱えた学生がボランティアで参加し、子どもたちの人気者になることも。

英さんは、親が安心して我が子を預けられる場所、子どもたちが喜んで来たい場所であることが大切だと感じています。

きょうだい児の中には、家の中では医療的ケアが必要なきょうだいが最優先で、自分の存在をアピールできない子もいると言います。親が介護や看護で大変な様子を見て、迷惑をかけないようにするという振る舞いが身についてしまっているのです。小学1年生の頃から通っていたきょうだい児の男の子は、「こんなお利口さんの1年生っているの?」と驚くほどでしたが、今では拗ねたり、時にはわがままを言ったり、自分の気持ちを出せるようになりました。

夏には学生ボランティアの協力を得て、夏休み特別企画「女木島へ行こう!」という計画を立てて、女木島に遠足。海水浴をして、洞窟も探検しました。 参加したきょうだい児は、「にーにぃも、いけるかな?」と、お兄ちゃんのバギーが通れるか、フェリーや電車の段差を自ら調べて、積極的に大人とも話をするようになりました。

「1年間やってきて、この児童クラブが、きょうだい児が大きくなった時に、『1人じゃなかったな、こんな大人がいたな』と楽しかったことを思い出してくれる場所になってくれたら と思っています」と英さんは言います。
きょうだい児と医療的ケア児の2人は仲良し

交流イベントが外に出るきっかけに

医療的ケア児の理解促進、家族と児童クラブへの周知を目的に、2022年10月に「あそびの会」という交流イベントを開催。医療的ケア児やきょうだい児、家族が一堂に集まり、病気の子どもたちを支援するNPO法人未来ISSEYの協力のもと、エコバッグのワークショップやボール遊び、「星つむぎの村」の遠隔プラネタリウム実演で広大な宇宙を楽しみました。

参加したきょうだい児からは「星空が好き! プラネタリウムで地球の裏側が見られて良かった」。他の家族と交流した母親からは「知らなかったサービスを知ることができた。家に引きこもっていたが外に出てみようと思えた」という声が聞こえました。 
NPO法人パラリンアートの協力でセロテープアートに挑戦!

 

みんなの笑顔が見たいから

「子育てには、保護者だけでなくさまざまな大人が関わっています。将来、子どもたちが自分の成長を振り返った時に、たくさんの信頼できる大人がいる地域、すべての子どもが多様な選択肢を持てる環境で『大切に育てられたんだ』と感じることが、次の世代にその思いが繋がっていくのではないかと思います」と英さん。

現在の課題は、利用する子どもたちの学校が個々に異なるため送迎が必要ということ。そのための人員や車の確保に苦心しています。 きょうだい児支援に興味のある人材の確保も必須。ボランティアや学生に研修を行って理解を増やし、専門知識を持つスタッフとの役割分担をしています。また、パンフレットやニュースレターでの告知と広報もしています。

在宅療養ネットワークは、障害のある子どもたちがより多くの子どもと関わる経験を増やしたいと、小学校、幼稚園、保育園に通う子どもを増やすための働きかけを行い、徐々にその数を増やしてきました。

「幅広い活動をしていますよねとよく言われるんですが、実は誰かを応援するのは、自分のためなのです。私が、子どもたちの笑顔を見られるのがとにかく嬉しくてやっているんです」と英さんはこのアクティブな活動の秘密を明かしてくれました。
学生ボランティアのお姉さんと
きょうだい児同士、共に過ごすことで成長します
●一般社団法人在宅療養ネットワーク 団体DBはこちら(CANPAN団体DBへ) 

●2022年度助成事業 医療的ケアに対応した地域連携ハブ拠点のモデルづくり

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