サマーキャンプは「感動の玉手箱」
たくさんの友達と楽しい思い出を作ろう
気球に乗って大空を飛んで、太陽の日差しを、風を、身体いっぱいに感じる瞬間。大好きな家族と一緒に海に入って水の冷たさや気持ちよさを全身で感じる時間。
医療的ケアが必要な子どもたちに、そんな宝物のような時間を過ごして楽しい思い出を作ってほしいと、「認定特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク」では、障害児や重い病気の子どもたちのためのサマーキャンプ「がんばれ共和国」を30年以上前から全国で開催しています。
難病のこども支援全国ネットワークは1988年に難病の子どもを持つ親と医師によって設立されました。電話相談から活動を開始し、難病や慢性疾病、障害のある子どもと家族の明日への希望と勇気の原動力になりたいという思いと共に、サマーキャンプを含めた幅広い支援を続けています。
キャンプでは「友達を作ろう」を合言葉に、医療関係者のバックアップの元、自然を感じ、遊び、歌い、たくさんの友達と日常とは違った時間を体験します。
「難病のお子さんたちは日常生活では体験できることが少ないので、キャンプではたくさんの心に残る楽しい体験を重ねてもらえたらと願っています」と事務局次長の本田睦子さんは話します。
2022年はコロナ渦でしたが、開催予定だった7か所のうち3か所でキャンプをすることができました。リピーターが多く、「久しぶりに会えたね。大きくなったね!」と親戚のように子どもの成長を喜び合う温かな時間となりました。
「がんばれ共和国」では、キャンプ地ごとに地域の特色を生かした楽しいキャンプを開催しています。沖縄の「おーきな輪 WITH みゃーくがに」では家族みんなで海に、神奈川県の「あしがらキャンプ」ではプールに入りました。呼吸器を付けていても、看護師や経験豊富なボランティアのサポートの元、安心して遊べます。
きょうだい児や親にとっても大切な時間
キャンプでは、親やきょうだい児のケアにも心を配っています。
初めて自分と同じ境遇の子どもと出会うきょうだい児も少なくありません。きょうだい児だけを集めたキャンプでの出来事です。一人の子どもが急に泣き出し、心無い言葉に傷ついた経験を吐露しました。自分も同じ体験をしたと励ましたお姉さんがいて、自分だけではないんだと感じることができた子どもたち。そんな風に子ども同士が安心して経験を共有し、話せる場になっています。
きょうだい児のなかには、成長をして、子どもをサポートする立場になる人も多いといいます。
親同士が出会うことで、日頃の生活の場面ではこんなものを持っていけばいいよといった情報交換の場にもなり、その後の交流を続けている家族もいます。
このキャンプの特徴のひとつは、障害の重さ、軽さは関係なく受け入れること。医療的ケアが必要な子どもや、一般のキャンプでは受け入れの難しいADHDや自閉症の子どもも多く参加しています。「がんばれ共和国」には、病気や障害のある子どもを専門とする医師や医療関係者が必ず参加しているので、それが実現可能になっています。
医療者にとっても、病院では見られないような家族と一緒にいる時の子どもたちのリラックスした様子、お風呂に入った時のゆるんだ表情など、新しい発見があるそう。
ボランティア参加者の職種は様々です。医療関係者以外に、教育関係者、学生、ボランティア休暇を取得して参加した一般企業の人もいて、家族にとっても普段の生活では関わることのない多様な人と接する機会になっています。
外の世界に出るきっかけに
キャンプがきっかけで外出ができるようになったという声も多く聞かれます。
今までは家と病院の往復のみの日々でしたが、医療者も参加するということでキャンプに参加して自信が付き、「自分たちだけで外出してみよう」「家族だけで他県にある実家に帰省してみよう」と思うなど、外の世界に出るきっかけになっています。
「お風呂に入ることができるのも喜ばれています。寝たきりのお子さんだと家庭では身体が大きいとお風呂の湯船に入るのも大変ですが、キャンプでは大浴場にお父さんと男同士で入れて嬉しかったという声もありました」と本田さん。
「創始者の小林信秋さんが『キャンプは感動の玉手箱』と言っていました。全国のキャンプごとに様々な感動するエピソードが生まれていて、こうした心に残る楽しい体験をたくさんしてほしいのです。難病や障害のある子どもとご家族のみなさんにはお一人おひとりに生きる力があると思っています。我々は、もちろん必要とされる時には全力で関わりますが、これからもキャンプやその他の活動を通じて、みなさんに寄り添い続けます」。
●認定特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク
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●2020年度日本財団支援事業
難病の子どもと家族の交流キャンプ
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