希少難病の子どもが健やかに育つ社会を目指して
早期診断と早期の治療のための検索サイトを
7000以上あると言われる希少難病は、専門医や情報の少なさなどから病名が確定するまでに時間がかかり治療が遅れて病状が進んでしまったり、成人になっても病名が分からない人がたくさんいるのが実情です。
一般財団法人健やか親子支援協会は、こうした希少難病の患児と家族を支え、様々な困難や課題の解決を目指そうと2015年に設立された団体です。希少難病の親子のためのセミナー、患者家族交流会の開催、情報提供活動、患者家族の就労支援など、医療面、経済面、精神面でのサポートをしています。
幅広い活動をする中で、精密検査や診療機関の情報不足を痛感した健やか親子支援協会は、早期診断や早期の治療開始のために必要な情報をまとめた検索サイトの構築を決意。2021年9月より、専門家や家族会を中心メンバーにした検討委員会が情報提供のルールや法的問題などの検討を重ね、2022年4月に「小児希少難病の精査診療機関検索サイト」を開設しました。
専門医の情報のアップデートは重要
このサイトでは、早期診断、早期治療に繋げるために専門性の高い医師がいる医療機関、特殊検査や精密検査ができる病院はどこにあるのかなど、かかりつけ医に向けた情報を提供。どのステップで検査をどこですればいいのか、どの医師に診てもらえばよいのかが検索できるようになりました。
スタートに際してまずは原発性免疫不全症候群(約45疾患)とレックリングハウゼン病の情報を掲載。2022年度内に100疾患を追加し、将来的には、さらにたくさんの難病の情報掲載を目指します。
「原発性免疫不全症候群に取り組み、医師の異動があったときにどのように対処するかなどの仕組みを作りました。年間3割の医師が異動すると言われています。そうした異動情報の更新、医師の退官後にその研究が誰に引き継がれたのかなどの更新を追っていきます。関連の学会や患者会、薬や機器など医療系の企業・団体からの協力も得て、5年後10年後も異動情報の更新がスムーズにできることを目指しています」と専務理事の川口耕一さんは話します。
今回、有償ボランティアで、患児家族の力を借りて病気の症状、学会や検査機関の情報を調査しました。子どもの病状を検索した経験から、医療分野に抵抗なくスムーズに調べられる能力の高さに川口さんは驚いたそう。これからこのスキルを活かして就労支援に繋げられたらと考えています。
サイトの開設に関わった検討委員会メンバーの方が学会等で紹介をしたところ、遺伝子関係の学会から、「情報の更新には苦心している。何らかの形で連携できないか」と相談がきています。
孤立しがちな難病患児家族の力に
難病の患児家族は医療面での不安や心配を抱え、また経済的にも、通院に伴う出費や差額ベッド代、特殊な食材にもお金がかかる等の負担もあり、家庭不和から離婚をしてしまうケースも少なくありません。その解決の一助として、希少難病児のための保険制度の研究会を作って様々な立場の人と保険設立の検討や経済的サポートを目指した基金の準備をしています。経済的なサポートが精神的支えになる面があるからです。
難病の子どもと家族を取り巻く課題や実態はほとんど知られていません。
知られていないことから差別や偏見が生まれ、病気であることを隠して生活している人、検査にも行かれずに悩みを抱え込んでいる人もいます。精神的に孤立してしまう患児家族も多いのです。
「そうした実態を出来るだけ多くの方に知ってもらうことが先ず何よりも大切だと考えています。それがいずれ政策の順位を上げていくことにつながればと思います」と川口さんは語ります。
「難病に関する信頼性のある情報の整備は、難病児家族の孤立を防ぐこととダイレクトに繋がっています。そのために、小児希少難病の精査診療機関検索サイトに関しては、今後は、関連の学会や患者会、製薬等医療系の企業団体などの協力を得ながら、日本財団の支援をいただけたこの期間に軌道に乗せていけたらと思っています」。
「産官学みんなで希少難病の子どもを守る。それが社会の流れになることで差別や偏見そのものがなくなっていくのではないでしょうか。一緒にすごしていて病気だったことに後になって気づく、そんな社会を作っていけたら」。
全ての子どもが共に健やかに育つ社会作りの貢献を目指して、健やか親子支援協会はこれからも希少難病の親子のために、産官学を巻き込んで走り続けます。
団体情報はこちら(CANPAN 団体DBへ)
- ●2021年度日本財団支援事業(遺贈基金)
●2022年度日本財団支援事業(子どもサポートプロジェクト難病児支援基金)
小児希少難病の精査診療機関検索サイト構築