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子どもの可能性を信じ、こたえ、かなえる場所

2021.09.07
一般社団法人Orange Kids' Care Lab.

新しい「当たり前」を作っていく

北陸の福井県福井市にある「オレンジキッズケアラボ」は日中の預かりを中心に、医療的ケアの必要な子どもと家族を支える事業を多数展開し、その先進的な活動は全国から注目を集めています。日本財団の助成を受け、2020年7月に地域連携のための新しい拠点がオープンしました。

オレンジキッズケアラボの始まりは、2012年。当時、在宅医療専門クリニックでソーシャルワーカーとして働いていた代表の戸泉めぐみさんは、寝たきりで胃ろうと痰の吸引が必要な重症心身障害のある高校3年生の男の子と出会いました。彼がまもなく特別支援学校を卒業するにあたり、県外の施設に入所して家族と離れ離れになるか、親がつきっきりで自宅で全ての介護をするかという厳しい選択に迫られていることを知ります。親の相談を受けて奔走するも制度の壁から受け入れ先は見付からず、彼の居場所を自分たちが作ることを決意。生活介護の事業を立ち上げ、週三日の受け入れを始めました。

研究所を意味する「ラボ」という言葉には、「子どもと家族と共に新しい挑戦をし、そのプロセスを社会に発信することで、一緒に新しい当たり前を作っていく」という思いが込められています。

母親の就労支援、子どもの就学支援、旅行や海水浴のチャレンジなど「こたえていく、かなえていく」を合言葉に、共に考え、話し合いながら、既成概念にとらわれずに医療的ケア児のための新しい事業を行う先駆者として、様々に道を切り開き、子どもの未来とその成長を支えてきました。

「オレンジキッズケアラボ」の新拠点

子どもたちと新たな場所を求めて

2012年の事業開始と共に利用希望者が相次ぐなか、それぞれのニーズに対応しながら変化を重ね、看護師、保育士、作業療法士、理学療法士などの多職種のスタッフを揃えて体制を整えていきました。子どもたちはみな重度の障害があり、車いすや呼吸器など様々な機材を使うためのスペースが必要です。活動の展開に合わせて当初の間借りから一軒家に移りますが、ふすまや段差が多く、スペースもかぎられ活動に制限があるなど、新たな場所の必要性を感じていました。 そんな中、日本財団の助成を受けて2020年6月に完成したのが新たな拠点です。「いろいろな活動を子どもたちとやってきた中で、今の形にたどりつきました」と戸泉さんは言います。

これまでは午前中の活動場所を片づけてお昼ご飯の準備をしていたところが、活動場所と食事のスペースを分けられるようになり、いつでも創作活動ができる絵本や工作コーナー、お昼寝をしたり体調のすぐれない子がゆっくり休んだりすることのできる個室も新たに設置。「遊ぶ部屋」と「休憩する部屋」といったメリハリが生まれるようになりました。

施設が広くなったことで、運動機能や知能に障害のない医療的ケア児も受け入れられるようになり、寝たきりの子と活発に動くことのできるケア児が一緒に楽しく過ごせるようになったと戸泉さんは感じています。また、スタッフも動きやすい環境になり活気が生まれ、新たな発想やアイデアが出やすくなったようです。

広いお風呂にはチェアごと入ることができ、子どもの状態にあわせて湯船の深さを調節し、時には足湯を楽しむことも。これまでは、家族が集う夏祭りやクリスマス会などは他の場所を借りて開催していましたが、施設内で行えるようになりました。

生まれて初めてのプール。やりたいことに挑戦!

地域と子どもが繋がる拠点に

隣接している「まあるカフェ」では看護師がカフェの店員、コミュニティナースとして働いています。看護師が地域の中で活動し、地域の健康作りなどをサポートするのが目的。子どもを預けているお母さんがカフェで働き、就労支援の場にもなっています。

カフェの常連のおじいさんが子どもたちに畑作りを教えてくれるようになりました。おじいさんの畑にジャガイモ堀りに行ったところ、認知症の奥さんが子どもたちに話しかけて家族が驚いたというエピソードも。このように子どもも地域の人も楽しく喜びとなる関係が生まれており、今後はイベントを定期的に開催するなど、カフェを地域との交流の拠点として活用していけたらと戸泉さんたちは考えています。

こうした活動によって、地域の人が変わり、社会が変わるきっかけを作り、医療的ケア児と家族が地域で幸せに暮らし続けるための可能性が広がっていくことが期待されます。

まあるカフェは、
地域の人との交流とお悩み相談の場に

こたえていく、かなえていく

保育園や小学校に通うなど、子どもたちのやりたいことに「こたえ、かなえる」には、受け入れ先とのやりとりなど多くの苦労がありますが「これ以上は無理だと『線を引かない』と決めると楽になるんですよ」と戸泉さんは笑います。それを実現するためにどうしたらいいのかをとことん考え、家族との信頼関係を築いたうえで「〇君はどうしたいのか」と、子どもを主語にして、十分に話し合いを重ねています。

「あなたたちはパイオニアですから」と戸泉さんは家族によく話します。家族は自分たちの経験が誰かの役に立つのならと、イベントやお話会にも参加して話をしてくれます。

新たな拠点でパワーアップしたオレンジキッズケアラボは、「こたえていく、かなえていく」を合言葉に、子どもと家族の未来を作り、地域にたくさんの笑顔と、新しい「当たり前」を作り出しています。

天気の良い日は外の開放的なお庭でお絵描きや工作も

 

●一般社団法人Orange Kids’ Care Lab.
 団体情報はこちらCANPAN 団体DBへ)

●2018年度日本財団助成事業
医療的ケアに対応した地域連携ハブ拠点の整備

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