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家族で初体験! 空を飛んだ夏休み

2018.06.13
一般社団法人Orange Kids’ Care Lab.

みんな一緒に大空散歩

2017年8月12日の朝、前の日からの雨が嘘のように上がり、軽井沢・西部小学校の上空には、気持ちのよい青空が広がっていました。「やった!」子どもたちは、空を見上げてにっこり。というのも、この日は楽しみにしていた熱気球搭乗体験イベント「Wings of Fairy!」が予定されていたのです。

 

「Wings of Fairy!」は、福井県で在宅医療を利用しながら自宅で生活する医療ケアを必要とする子どものサポートを手がける一般社団法人Orange Kids’ Care Lab.(オレンジキッズケアラボ)によるイベント。オレンジキッズケアラボは2015年から毎年、夏休みは軽井沢において、全国から集まる医療ケアが必要な子どもたちのキャンプ「軽井沢キッズケアラボ」を運営しており、この熱気球搭乗体験は、この年のキャンプの集大成として、軽井沢滞在最後の日に企画されたものでした。

 

イベントでは、キャンプに参加していた障害のある子どもやその家族だけでなく、地元の方々や、空飛ぶ熱気球を見てふらりと立ち寄った旅行者まで、延べ161人もの人々が気球に乗って、大空の散歩を楽しみました。

上空からは、雄大な自然と軽井沢の街並みを楽しみました

この子のおかげで気球に乗れた!

寝たきりや車いすの子ども、家族、地域の人々も、熱気球は「初体験」の人がほとんど。高さ30mまで昇っていくバルーンの迫力、火の音、ふわりと浮かんだ感覚、頬に触れる上空の空気・・・みんなで同じ「初めて」を経験しました。

「『あなたのおかげでこんな経験ができた。ありがとう!』と、車いすのお子さんに感謝している家族の様子が印象的でした。いつもは “この子に何かしてあげなければ”と考えながら暮らされていますから」と、オレンジキッズケアラボの伊藤順幸さんは語ります。医療ケアを必要とする子どもを抱える家族は、ほんの少しの外出でさえ、呼吸器や栄養、痰の吸引などケアの段取りが気持ちのほとんどを占めてしまいますが、このときばかりはいつもと様子が違いました。「大きな熱気球を見たら、全てを忘れて子どもとの夏の時間を楽しめました。こんなに夢中になったのは、この子が生まれて初めてです」。そんな感想を伝えてくれたお母さんもいたそうです。

熱気球のバスケットは車いすもラクラク乗せられる大きさ。

家族全員が一緒に搭乗できました。

地域の人と交流できる場所作り

気象条件が整わず、熱気球搭乗体験は午前中3時間ほどの短い時間でしたが、それ以降は、体育館に用意した3台の大型エア遊具で遊んだり、アートや音楽のワークショップを楽しんだりして、地域の方々との交流をさらに深めました。

ワークショップは2種類。一つは大学生のエンターテインメント集団「LES WORLD(レ・ワールド)」によるアート体験で、絵の具を手に塗って床一面に敷き詰めた模造紙の上で踊ったり寝転んだりしてみんなで大きな作品を描き上げました。もう一つは、沖縄県久米島から参加した聴覚に障害がある安里友希さんによるアフリカの太鼓“ジャンベ”の演奏体験。空気の振動で音を感じ、気持ちをひとつに合わせて体育館いっぱいにリズムをつくっていきました。

「別荘地である軽井沢は、他所の人を受け入れる土壌のある懐の深い土地柄で、これまでも、街中で声をかけていただくなど医療ケアを必要とする子どもを温かく迎え入れていただいてきましたが、今回のイベントではより多くの方に集まっていただき、より深く子どもたちを理解してもらえる機会となりました」と伊藤さんは語ります。

絵の具はいつの間にか顔にまで。

体育館中にたくさんの笑顔があふれた。

日本を医療ケアを必要とする子どもが楽しく過ごせる場所に

当初は「医療ケアが必要な子どもたちの夏のリゾート体験」という位置づけで始まった軽井沢キッズケアラボでしたが、実施してみると、子どもたちにとっては日常生活の延長のような毎日だったそう。

「気がつくと、このキャンプは、医療ケアを必要とする子どもが家や病院ではない場所でも楽しく過ごせること、地域の人と交流できることを広く知ってもらえる場になっていました」と、伊藤さん。

子どもたちの楽しそうな様子は、彼らの滞在を受け入れるには思ったほど特別な身構えが必要ないことを自然と伝えていました。街中の段差で手助けしてくれる人が増えたり、往復に使う交通機関が年々利用しやすくなるなど、子どもたちが街中を行き来するだけで、社会のバリアーが自然となくなっていったのです。

「これからの目標は、オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年の日本を、世界中から遊びに来る医療ケアの必要な子どもたちと一緒に、あたりまえに楽しく過ごせる場所にすることです。その実現に向けて、子どもたちの力を借りながら行動し続けていきたいと思っています。軽井沢の熱気球のところに行ったらみんな楽しかった、まずはそう記憶してもらえたらうれしいです」。

今年3年目のベテランさんは1人で滞在中。

夏ごとにたくましく成長します。

・一般社団法人Orange Kids’ Care Lab.

 団体情報はこちら(CANPAN 団体DBへ)

・2017年度 日本財団支援事業

 難病の子どもたちと家族の交流キャンプ「軽井沢キッズケアラボ」における熱気球の乗船体験(Tooth Fairy)

難病の子どもとその家族、地元住民に対して、熱気球の搭乗体験および地元住民との交流会を提供する。

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