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パソコンを使って意思伝達支援

2018.09.07
特定非営利活動法人iCareほっかいどう

機械の声でもいい、お母さんと呼んでほしい

特定非営利活動法人iCareほっかいどう(以下、iCareほっかいどう)は、10年以上にわたり、ALS(筋萎縮性側索硬化症)をはじめとする神経難病などによって手足が動かず、声を出すことができない人たちのパソコンを使った意思伝達、コミュニケーションの支援活動を行なってきました。2016年に、これまでの経験を元に重い障害のある子どもたちのための放課後等デイサービス「ばおばぶ」をスタート。重症心身障害児や、脳性まひなどの重い障害がある子どもたちがパソコンソフトを利用したおもちゃ遊びや、音楽の演奏を楽しんでいます。わずかな目の動きや顔の筋肉の変化をスイッチが感知してパソコンに伝えておもちゃを動かし、音を奏でるしくみです。

「ぼおばぶ」が最も大切にしているのは、話すことのできない子どもと親御さんとのパソコンを使ったコミュニケーション。「ある時、『機械の声でもいいので、お母さんと呼んでほしい』というお母さんの言葉を聞き、これこそがわれわれの最終目標だと、試行錯誤を繰り返しながら、『ばおばぶ』を立ち上げて2年が経ったところです」と理事長の杉山逸子さんは話します。

放課後等デイサービス「ばおばぶ」が二周年を迎えた日には、

くす玉を割ってお祝いをしました。

身体のわずかな動きで音を奏でる

障害の状態はひとりひとり違うため、パソコンや装置の設定は個別に研究を重ねています。意思伝達装置を積極的に導入して、パソコンにつなげるスイッチを自作したり、親に向けたアプリの使い方の勉強会を行なったり。障害のある子どもの家族や特別支援学級の教員からのコミュニケーション機器の導入に関する相談も年々増加しています。身体のわずかな動きでスイッチを押すと音が鳴るソフトは特に喜ばれていて、キラキラ星などの曲が演奏できる音楽ソフトは子どもたちに大人気です。また、「ばおばぶ」に通う子どもたちは毎年10月に開かれる大きな舞台での音楽演奏の発表会に参加しています。人前で演奏し、多くの人に応援してもらうことはなかなかない経験で、自信がついたり、次はもっと頑張ろうという張り合いになります。出演予定の子どもたちは、その日を目標に、毎日のように練習に励んでいるそう。

「ばおばぶ」には、スタッフ手作りのおもちゃがいっぱい。スイッチを押すと、シャボン玉が出たり、豆まきの豆が飛んたり、「おはよう」と録音した声が聞こえてきたり。新聞で作ったおにぎりが坂道を転がるおもちゃは自信作です。

「子どもが楽しむのが一番です。日本一の放課後等デイサービスを目指しています」と杉山さんは胸を張ります。「1年間、全く笑顔を見せなかった女の子が、初めて笑ってくれた時は本当にうれしかった。そうしたことが何よりの喜びです」

デイサービスの時間は、お母さんたちが介護から離れて、ほっとできるひと時でもあります。札幌市では、養護学校には親御さんが1日中付き添わなくてはならず、家でも外でも常に介護に追われているのが現状です。最近、所有する送迎車が日本財団の寄付により増えたことで、デイサービスに来る人数が増え、親御さんの送迎の負担も緩和されたそう。

みんなでうちわで遊ぶ風船バレー。スタッフも盛り上がっています。

研修への参加や開催、ネットワーク作りも

iCareほっかいどうでは、放課後等デイサービスの知識や技術を培うため、東京で開催された医療的ケア児を理解するための8日間にわたる研修会に参加。看護師、作業療法士、保育士などのスタッフが、放課後等デイでの療育にすぐに役立つ内容のプログラムを受けて、家族対応、療育、病気、教育、リハビリテーション、摂食、姿勢などについて学びました。

 

また、これまでに得た知識と経験を元に、地域の専門職や保護者を対象に重症心身障害児の具体的な療育に関する研修、ALS患者等の意思伝達支援の研修、スイッチ作りや操作の研修会、年度末の活動報告会などを開催。各地の医療者(保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)との協力体制、道内の他の放課後等デイサービスとのネットワーク作りにも積極的に取り組んでいます。

 

「当初から利用していた中学生は高校生になりました。放課後等デイサービスの対象は高校までのため、卒業後の子どもたちが使えるコミュニケーション支援もできる生活介護の場が必要だと感じています。」と杉山さん。

 

この春には、初の親子イベント、家族遠足を開催しました。緑の中でみんなでご飯を食べたり、動物園のヤギとふれあったり。野外で遊ぶのが初めてだった子どももいて、親御さんにも大変喜ばれました。「2年目にしてようやくこうしたイベントをするゆとりができました。今後も、みんなが楽しめる企画をしていきたいです」

 

これからもiCareほっかいどうは、意思伝達支援に力を入れながら、あたたかなまなざしで、子どもたちとその家族を見守り続けます。

初めて開催した公園での親子遠足。

これからもみんなが楽しめるイベントを企画していきます。

・特定非営利活動法人iCareほっかいどう

 団体情報はこちら(CANPAN 団体DBへ)

・ 2017年度 日本財団支援事業

 医療的ケアのある子どもたちを支えるための研修参加

医療的ケアの必要な子どもに対応した技術・知識の習得、制度理解等のための研修(東京開催)に各回2名が参加(2日連続×4回)。

重症心身障害児を対象とした具体的な療育に関する研修、ALS患者等の意思伝達支援の研修、スイッチの研修会、年度末の活動報告会などの研修を開催。

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ぜひお気軽にご連絡ください。