メニュー閉じる
お問い合わせ

日本財団 | 難病の子どもと家族を支えるプログラム
難病の
子どもと家族を
支えるプログラム

お問い合わせ

ニュース・トピックス

NEWS・TOPICS
ホーム > ニュース・トピックス > 鳥取に小児在宅医療の基盤を育む

鳥取に小児在宅医療の基盤を育む

2018.11.30
鳥取大学医学部附属病院小児在宅支援センター

医療的ケア児が地域社会で育つために必要なこと

鳥取大学医学部附属病院小児在宅支援センター(以下、センター)は、2016年、難病の子どもと家族の地域生活支援を目的に、鳥取県と日本財団の共同プロジェクト「みんなでつくる“暮らし日本一”の鳥取県」の一環として設立されました。

地域で暮らしながら医療的ケアを必要としている病気や障害のある子どもたちは鳥取県内に約1000名。それに対して、日常の医療的ケアを支援する訪問看護ステーションは約40カ所。さらに、就学前の医療的ケア児が利用できる保育園やデイサービスはほとんどなく、社会で育つための居場所の整備や支援者の育成が鳥取県の喫緊の課題となっています。

センターでは、これらを解決するため、医療的ケア児に対応できるさまざまな職種の支援者育成プログラムや、将来小児医療を担う医学生・看護学生を対象としたボランティアの養成、職種を越えた連携を強化するためのミーティングや情報発信を行っています。

医療的ケア児と家族、地域で支援に取り組むさまざまな職種が一同に会する

年1回のイベント「小児在宅ケアミーティング」。

2017年は作業療法士を講師に、遊びをテーマに開催。地域の連携も深まりました

現場のニーズに合わせたOJTプログラム

センターの仕事の大きな割合を占めるのが支援者育成で、対象は、訪問診療クリニックや訪問看護ステーション、保育園や福祉施設といった、医療的ケア児の地域での生活を支える全ての機関、職種にわたります。研修を求める施設や個人のニーズに合わせたオーダーメイドのOJTプログラム(実務を通した実践訓練)となっていることが特徴で、全国の先駆けとなる研修制度です。

「在宅医療はご自宅がフィールド。保育園や学校は子どもの生活の場です。小児在宅医療はそういった“場”でのトレーニングが必要だと考えていました」と、副センター長の玉崎章子さんはOJTプログラム実施の経緯を語ります。

小児神経科医である玉崎さんと小児救急看護認定看護師、重症心身障害児施設での経験が豊富な看護師各1名の計3名が専属でセンターに在籍し、受講者と対話を繰り返しながら、課題に沿ったきめ細やかな研修を行っています。

何から学べばよいか分からないという場合は、医療的ケア児が通う大学病院の在宅外来の診療を月に2回、2〜3ヶ月の時間をかけて見学するプログラムを選択することも可能です。

在宅ケアミーティングでは、講義の後に多職種が同じテーブルを囲んでディスカッション。

知らなかった考え方や視点が学べる機会になったと好評でした

ケアに向き合う心の基盤づくり

OJTプログラムは、技術の習得に加え、「自分たちで学んでいこう」という意識の醸成も大事な目的であると玉崎さんは語ります。医療的ケア児に向き合うための心の基盤の育成です。

人工呼吸器を使う子どもの受け入れが決まり、対応に不安を抱えていた米子市の保育園から依頼された研修での出来事です。第1回目は、保育士や看護師から学びたいことや不安、自分たちの強みを聞き出し、2回目の訪問時にそこで出た具体的な課題「緊急対応」について講義と実際の機器を使った実習を実施しました。受講後、まだ即座に対応できないことを職員が感じ、園独自のマニュアル作りや定期的な訓練の必要性に気づいたそう。追加で行った3回目の研修ではとてもスムーズに対応ができるようになりました。

「不安が解消されなければ自信がつくまで4回、5回の対応も行います。今回のOJTプログラムは米子市の担当者も見学したことで、園の不安や必要な支援体制といった現場の実態を市の担当者によく理解してもらえました。その結果、米子市による医療的ケア児受け入れのためのガイドラインの作成につながりました」。

研修が行政の制度づくりに反映されたことはセンターによるもうひとつの成果といえます。

医療的ケア児の受け入れを予定している障害児等デイサービスで人工呼吸器のトレーニング。

実際に呼吸器を装着して子どもの気持ちを体感します

丁寧な研修が育む地域の支援力

地域の在宅医療機関が初めて小児を受け入れるときには、お子さんが暮らす自宅で研修を行います。在宅医療は高齢者がほとんどのため、小児独特の薬の使い方や機器の管理など、医師や看護師にとって初めてのことも多いそうですが、1回の研修をしっかり行えば、以降は安心して診療に取り組めるようになるそう。日々成長する子どもたちの様子に目を細める先生たち。このプログラムを通して小児在宅医療の中核となるクリニックが県の各圏域に生まれました。

多岐に渡ったセンター1年目の活動ですが、鳥取県中西部での活動が多かったため、今後は東部にも範囲を広げて地域による偏在を解消していきたいと玉崎さん。地域支援の調整を担う専門職や看護ステーションに対するアプローチにも力を入れ、研修をさらに広めていきたいと、これからの抱負を語ってくれました。オーダーメイドの丁寧な研修によって力のある支援者や機関が増え、地域の医療的ケア児への支援力の向上と連携強化が実感できる取り組みとなっています。

自宅での生活が始まったお子さんのベッドサイドで、担当する訪問看護師に機械の取り扱いを指導。

子どもや家庭ごとに異なる臨機応変な対応も伝えられます

・鳥取大学附属病院

 団体情報はこちら(CANPAN 団体DBへ)

 

・2017年度 日本財団支援事業

 小児在宅ケア対応の専門人材育成事業

(1) 鳥取大学附属病院小児在宅支援センターにて、OJTプログラムを実施し23名が修了。

(2)学生ボランティア育成のための多職種連携教育セミナーと療育キャンプを開催。

 セミナー:医学生5名、看護学生4名、教員4名、保護者1名が参加

 キャンプ:医学、看護、心理学、介護などの学生が参加

 在宅ケアミーティングに託児ボランティアとして学生7名が参加

(3)訪問看護事業所、福祉事業所を対象とした医療安全研修を開催

第2回子ども在宅ケアミーティングにてシンポジウム「難病の子どもと一緒に遊ぼう」として開催。55名が参加。

お問い合わせ

ご不明な点やご質問がありましたら、
ぜひお気軽にご連絡ください。