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子どもの病気と闘う家族の第2のわが家

2019.01.21
認定特定非営利活動法人ファミリーハウス

子どもの闘病と家族の心を支える宿泊施設

小児がんなど子どもの重い病気は、診察ができる医療機関の数が限られており、地方に暮らす子どもたちは自宅から遠く離れた病院に入院しなければならないことも少なくありません。そんな子どもの入院に付き添う家族のための宿泊施設は「ファミリーハウス(以下、ハウス)」と呼ばれていて、NPOや医療機関、企業などが運営する施設が全国に約120カ所あります。

 

認定特定非営利活動法人ファミリーハウス(以下、ファミリーハウス)は、1991年に日本で第1号のハウスをつくった団体です。1泊1000円で利用できるハウスを都内に10カ所運営。どの施設も生活に必要な家具や設備が整った居心地の良い部屋で、季節ごとに変わるインテリアからはスタッフやボランティアの方の温かな思いが伝わってきます。

 

「家族は子どもの病気に対するショックを受けたうえに、コミュニティから離れて生活を始めなければならず、その精神的な負担は大変なものです。一方、人は『暮らしを支えてもらっている』という意識にもストレスを感じてしまうもの。そこで私たちは闘病中も当たり前の日常生活が送れるような環境づくりとともに、お互いにありがとうが言える関係性、力が弱っている時には支えられ、次に他の誰かを支えるという循環を目指して活動しています」。ファミリーハウス事務局長の植田洋子さんは語ります。

退院後の受診や検査のために親子で滞在することも。

ホテルにはない、穏やかな日常がそこにはあります

家族の側に立ち、医療と家族を繋げる専門職

ファミリーハウスの利用者は、国内でも特に先進的な医療機関にかかっている重篤な病児の家族が多いため、心理士や看護師、ソーシャルワーカーといった専門スタッフがひとりひとりに向き合って対応しています。

「申し込み受付時には、電話口で泣かれている方、パニックになって後でなにも覚えていなかったという方もいます。そんな時は、担当者が出向いて話を伺ったり、病院に同行して医師の話をいっしょに聞くこともあります。利用者との信頼関係づくりを基本に、治療内容の理解からサポートを始めているのです」と植田さん。

特に重い病気の場合、厳しい宣告や決断が続くと家族は強いストレスにさらされます。そんな時に、家族の側に立って医療と家族を繋げること、また、できるだけ日常に近い形に生活環境を整えて家族のストレスを減らすことが、長年ファミリーハウスが取り組んできた支援の形です。滞在中には看護師のスタッフによる定期的な面談や、ボランティアや利用者同士の交流の機会を作るなど、家族を孤立させないしくみも整えられています。

ハウスの近くにある畑で作業するボランティアのみなさん。

利用家族もいっしょに活動します

専門性の高い利用者支援

医療機関との連携を進め活動を深めるためには支援の内容を社会にわかりやすく伝えることが必要と考え、これまでスタッフの経験と専門知識をベースに組み立てられてきた支援体制について、上智大学総合人間科学部心理学科の久田満教授の協力を得て学術的な検討を行いました。

検討の結果、ファミリーハウスを利用する家族の心理状況を『ストレス理論』で説明でき、環境に配慮しながら家族をエンパワメントするファミリーハウスのケアを『コミュニティケア』と呼ぶことが明らかになりました。これまで続けてきた活動が利用者のケアに有意義であることが学術的に説明できることがわかったのです。また、同時に行ったファミリーハウスを含む全国16のハウス運営事業者への調査から、専門性の高い利用者支援がファミリーハウスの特徴であることが明確になりました。これらの内容をパンフレットにまとめて医療などの関係機関に配布、さらに良い連携の構築へ一歩を踏み出しました。

国立がん研究センターの近くにオープンした拠点「かちどき橋のおうち」。

2LDKの広さで、宿泊のほかリビングでは交流イベントが開催できます

コミュニティケアの実践の場としての拠点を整備

また、それと同時に国立がん研究センターからほど近い場所に、病児の家族やスタッフ、ボランティアが集える活動の拠点「かちどき橋のおうち」をオープン。コミュニティケア実践のモデルとして、利用者の滞在のほか、ランチ会やお料理会、手仕事のイベントなどを定期的に開催し、交流の場として活用しています。国立がん研究センターでは、2017年度から小児がんの臨床試験が始まっており、特に重篤な子どもが全国から集まっているため、ハウスを利用していない保護者も拠点でのイベントに誘い、リフレッシュのひとときを過ごしてもらっているそうです。

また、拠点はストレッチャーで滞在できるように設計されているため、極めて重い状態の子どもも宿泊ができます。子どもたちは、家族と外泊してご飯を食べるといった目標をもつなど、ハウスの存在が治療を乗り越える力となっているそう。2年ぶりにお母さんの手料理を食べることができた子どももいました。

「ファミリーハウスは、闘病中の子どもと看護する家族の第2の家。その必要性や役割をさらに目に見える形にして、理解してもらえるモデルを作っていきたいです」と植田さん。コミュニティケアの重要性が明らかになった現在、さらなるケアの向上をめざして活動は続いていきます。

部屋の入れ替え時には、ボランティアとスタッフが集まり作業をしています。

利用者からの相談は専門のスタッフが対応しています。

・特定非営利活動法人ファミリーハウス

団体情報はこちら(CANPAN 団体DBへ)

・2017年度 日本財団支援事業

 医療的ケアに対応した地域連携ハブ拠点のモデルづくり

○医療従事者と患者家族滞在施設の連携による支援モデルの構築

○支援モデル構築のための調査

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